万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴宿禰家持の同じ坂上家(さかのうへのいへ)の大嬢(おほをとめ)に贈れる歌一首

朝に日(ひ)に見まく欲(ほ)りするその玉をいかにせばかも手(て)ゆ離(か)れざらむ

巻三(四〇三)
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毎朝毎日見たいと思うその玉をどうすれば手から離さずに側に置いておけるのでしょう。
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この歌は大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が大伴坂上大嬢に贈った恋歌。
大伴家持は大伴旅人の子で、万葉集の編者といわれています。
坂上大嬢(さかのうへのおほをとめ)は題詞に「同じ」とあるように、家持と同じ大伴家の一族で大伴坂上郎女の娘。

この歌は万葉集に出て来る家持の歌としては一番最初のものになり、譬喩の相聞歌となっていますが「毎日見たいと思う玉」とはもちろん坂上大嬢のことですね。
「毎朝毎日見たいと思う玉(君)をどうすれば側に置いておけるのか…」とは、譬喩歌としてはなんとも直球で素直な思いの恋歌ですが、笠女郎には冷たいとすら言える態度を取った家持もこの大嬢には熱心に恋の歌を贈ったようです。
(後に大嬢は家持の妻となり、家持はこの歌の念願通りに玉を手もとに置くことが出来ました。)

まあ、正直なところ譬えとしては直球過ぎて平凡であり、あまり上手い歌とは言えない(家持の歌が上達してくるのはまだもう少し先のことでありこの頃の家持は歌に本当の自信は得ていなかったように感じられます)のですが、若き日の家持の恋心を知ることの出来る初々しい一首ではありますよね。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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