万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大伴宿禰駿河麿(おほとものすくねするがまろ)の同じ坂上家(さかのうへのいへ)の二嬢(おとをとめ)を娉(つまど)へる歌一首
春霞春日(はるがすみかすが)の里の植子水葱苗(うゑこなぎなへ)なりといひし枝(え)はさしにけむ
巻三(四〇七)
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春霞たつ春日の里に植えた子水葱は苗だと言っていたけれどもう枝は伸びたでしょうか
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この歌は大伴宿禰駿河麿(おほとものすくねするがまろ)が同じ大伴家の坂上二嬢(おとをとめ)に求婚したときの一首。
大伴駿河麿は大伴家持の又従兄にあたります。
この歌ではかつて春霞のたつ春日の里に植えた子水葱を二嬢に譬えて、「あの頃はまだ子水葱の苗のように幼かったあの娘ももう成人したでしょうか」と、二嬢に直接ではなくその母である坂上郎女(さかのうへのいらつめ)に二嬢を妻として頂きたいと頼んでいるわけですね。
駿河麿と二嬢は又従妹で普段から面識もあるので、結婚できる年齢であることはもちろん承知の上でのことです。
まあ、本来婚姻は本人たちの気持ちの問題であるのですが駿河麿と坂上郎女は同族同士の親しい間柄であり、郎女の了解なしには結婚できないような雰囲気が存在したのでしょうね。
はっきりとしたことは分かりませんが、どうやらこの後、郎女の了承も得て駿河麿と二嬢は結ばれたようです。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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