万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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柿本朝臣人麿の香具(かぐ)山の屍(かばね)を見て、悲慟(かなし)びて作れる歌一首

草枕(くさまくら)旅の宿(やどり)に誰(た)が夫(つま)か国忘れたる家待たまくに

巻三(四二六)
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草を枕の旅の宿りに誰の夫だろうか、故郷を忘れているのか、家では妻も待っているだろうに。
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この歌は柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)が香具山で倒れている旅人の屍を見て悲しんで詠んだ鎮魂の一首。
万葉集の時代、とくに初期のころの旅は今の時代とは比べ物にならないほどに危険が伴い、この歌の旅人のように旅の途上で行き倒れてしまう行路死者もめずらしくはなかったようです。
香具山の麓まで来ていたならもう藤原京も明日香の里も目の前であったはずですが、辿り着く寸前で力尽きてしまったのでしょうか。
そんな屍を見て、「いったい誰の夫だろう。いまごろ家では妻が帰りを待って祈りを捧げているだろうに…」との家で帰りを待っているだろうこの旅人の家族への想像が、人麿の心をさらに悲しませたのでしょうね。
同時に、その場をさ迷う旅人自身の無念の想いを感じ取って、この鎮魂歌を詠むことでその魂を慰めたのでしょう。


香具山の北東の古池のほとりにあるこの歌の歌碑。



歌碑の解説。



歌碑のある古池。
香具山の東の万葉公園から北に少し行った場所です。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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