万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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天平三年辛未(しんび)。秋七月に、大納言大伴卿(おほとものまへつきみ)の薨(みまか)りし時の歌六首

愛(は)しきやし栄(さか)えし君の座(いま)しせば昨日(きのふ)も今日(けふ)も吾(わ)を召(め)さましを

巻三(四五四)
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お慕わしき華やいだあなたが居られたなら昨日も今日も私をお召しになるだろうに。
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この歌は天平三年辛未(しんび)の秋七月に、大伴旅人(おほとものたびと)が亡くなったときに余明軍(よのみやうぐん)が詠んだ五首の挽歌のうちの一首。
〔題詞には六首とありますが、残り一首は犬養宿禰人上(いぬかひのすくねひとがみ)の作。〕

余明軍は百済系の渡来人ともいわれる人物で、朝廷から高位の者に与えられる舎人である「質人(しじん)」として大伴旅人に仕えていたようですね。

大宰師(大宰府の長官)として大宰府に派遣されていた名門大伴家の雄、大伴旅人も奈良へ帰郷した翌年に突然の病で亡くなってしまいます。
この一首はそんな旅人の死を悼んで余明軍が詠んだものですが巻二(一八四)の歌に影響を受けたものでしょうか、資人として主を亡くした虚しさがよく表れている一首ですよね。


大伴旅人と余明軍の間にどのような絆があったのかはわかりませんが、明軍の旅人を悼むこれらの五首の歌には深い主従の関係を感じさせるものがあるように思います。
これもおそらくは旅人の愛すべき人間性ゆえなのでしょうね。

明軍が詠んだ挽歌が続きます。


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万葉集巻三


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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