万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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見れど飽(あ)かず座(いま)しし君が黄葉(もみぢば)の移(うつ)りい去(ぬ)れば悲しくもあるか
右の五首は、内礼正県犬養宿禰人上(ないらいのかみあがたのいぬかひのすくねひとがみ)に勅(みことのり)して、卿(まへつきみ)の病(やまひ)を検護(けんご)せしめき。しかれども医薬験無(いやくしるしな)くして、逝(ゆ)く水留(とどま)らず。これに因(よ)りて悲慟(かなし)みて、即ちこの歌を作れり。
巻三(四五九)
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いつまでも見ても飽きないあなたが黄葉のように移ろい去ってゆかれたのでなんとも悲しいことです。
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この歌は大伴旅人(おほとものたびと)が亡くなったときに内礼正県犬養宿禰人上(ないらいのかみあがたのいぬかひのすくねひとがみ)が詠んだ挽歌。
左注によると、朝廷が内礼正県犬養宿禰人上に命じて旅人の病気の看護をさせたのですが、薬石も効を為さず旅人は亡くなってしまいました。
そこで県犬養人上が悲しんでこの歌を詠んだそうです。
「内礼正」は当時の内務省の長官。
そんな内礼正の県犬養人上が旅人の看病に差し向けられたということは、旅人とも特別な親交があったのでしょうか。
おそらくは旅人が亡くなった直ぐ後に、その魂を身近に感じながら語り掛けるように詠まれた歌なのでしょう。
「いつまでも元気な姿を見せてほしいあなたが黄葉のように移ろい去ってゆかれたのでなんとも悲しいことです。」との、移ろいゆく命の切なさが詠われた寂しげな挽歌ですよね。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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