万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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弟(おと)大伴宿禰書持(ふみもち)の即ち和(こた)へたる歌一首
長き夜(よ)を独(ひと)りや宿(ね)むと君が言(い)へば過ぎにし人の思(おも)ほゆらくに
巻三(四六三)
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長き夜を独り寝るのかとあなたが言うと、亡くなった人のことが思い出されてきます。
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この歌は大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が亡くなった妻を思って詠んだ先の巻三(四六二)の歌に、大伴宿禰書持(おほとものすくねふみもち)が即座に唱和した一首。
大伴書持は家持の弟で、詳しいことは分かりませんがこの歌のようにずいぶんと仲の良い兄弟だったらしいことから同母兄弟であろうと言われています。
妻を亡くして傷心の家持が「今からは秋風が寒く吹くだろうにどのようにして独り長い夜を寝ればいいのだろうか」と詠んだ先の巻三(四六二)の歌に対して、「そんなふうに、長き夜を独り寝るのかとあなたが言うと亡くなった人のことが思い出されてきます。」と、書持もまた義理の姉のことを思い出して家持とともに悲しみを分かち合っています。
こんなふうに悲しみを分かち合えるというのは、なんとも深い絆を感じさせてくれる兄弟愛ですよね。
ただ、家持の悲しみを分かってくれた愛しい弟の書持もまた、この七年後には若くしてこの世を去ってしまいます。
これも万葉の時代の人々がいかに儚い命を燃やしながら生きていたかがわかる出来事ですね。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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