万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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また、家持の砌(みぎり)の上(うへ)の瞿麦(なでしこ)の花を見て作れる歌一首
秋さらば見つつ思(しの)へと妹(いも)が植ゑし屋前(やど)の石竹(なでしこ)咲きにけるかも
巻三(四六四)
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秋になれば見て偲んでほしいと思ってか、妻が植えた撫子が家に咲いているよ。
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この歌も巻三(四六二)の歌と同じく、大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が亡くなった妻を思って詠んだ一首。
「秋になれば見て偲んでほしいと思ってか、妻が植えた撫子が家に咲いているよ。」と、妻の植えた撫子の花が咲いているのを見てまるで妻が自分のことを思い出して偲んでほしいと思っているかのように家持には感じられたのでしょう。
万葉集の初期のころの挽歌は亡くなった者への語り掛けの言魂としての要素が強かったですが、家持たちの時代になってくると徐々に自身の悲しみに重点を置いた後の世の短歌に近づいてきます。
家持のこの歌でも、最愛の妻を亡くした心の喪失感を妻の植えた撫子の花を通して詠んだ切ない一首ですよね。
いくら嘆いても悲しんでも亡くなった者は帰ってこないと知りつつも、悲しまずにはいられないのが人の心というものなのでしょう。
家持の悲しみはまだ続きます。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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