万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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月移りて後に秋風を悲しび嘆きて家持の作れる歌一首

うつせみの世は常(つね)なしと知るものを秋風(あきかぜ)寒み思(しの)ひつるかも

巻三(四六五)
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現実の世は常のなきものと知りながらも秋風が寒く感じられるようになると妻のことが思い出されるよ。
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この歌も巻三(四六二)の歌などと同じく、大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が亡くなった妻を思って詠んだ一首。

巻三(四六二)の歌で「今からは秋風が寒く吹くだろうにどのようにして独り長い夜を寝ればいいのだろうか」と嘆いた家持でしたが、妻の亡くなった六月から七月(旧暦)に季節は移り、実際に秋風の寒さが感じられてくるとやはり妻のいない独り寝の寂しさに心が深く沈んだようですね。

永遠の命などはない、みんなやがては死んでいくのだと諦めようとは思っても、ひと月程度の時間ではとうてい妻を亡くした悲しみを癒すことは出来なかったのでしょう。
妻の植えた撫子を見れば妻を思い出し、秋風の冷たさを感じれば妻が隣にいた昨年の秋を思い出す…
何を見ても何をしていても亡くなった妻のことを思い出さずにはいられないこの時期の家持だったようです。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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