万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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悲緒(かなしび)いまだ息(や)まず、また作れる歌五首

かくのみにありけるものを妹もわれも千歳(ちとせ)のごとく憑(たの)みたりけり

巻三(四七〇)
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こうなる運命にあったのに妻もわたしも千年も生きるかのように思っていたものだ。
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この歌も巻三(四六二)の歌などと同じく、大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が亡くなった妻を思って詠んだ挽歌。
題詞に「悲緒(かなしび)いまだ息(や)まず、また作れる歌」とあるように、これまでの歌とはまた別の時期に詠まれた五首の歌群となっています。


これまでの歌でも亡くなった妻を思って悲しみに沈んでいた家持ですが、さらに時が経てもまだその悲しみからは立ち直れなかったのでしょう。
「こうなる運命にあったのに妻もわたしも千年も生きるかのように思っていたものだ。」と、この歌でも妻の生前を思い出しながら、命のはかなさを知らずに過ごした日々を懐かしみまた悔やんでいます。
あるいは、こんなにも儚いものと知っていたのならもっと一緒にいた時間を大切にして過ごしたのに…との思いもあったのでしょうか。
その時間の大切さを失ってからしか気づけない人間の哀しさを、われわれにもあらためて感じさせてくれる一首のようにも思います。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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