万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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崗本天皇(をかもとのすめらみこと)の御製(つくりませるみうた)一首并せて短歌
神代(かみよ)より 生(あ)れ継(つ)ぎ来(く)れば 人多(さは)に 国には満(み)ちて あぢ群(むら)の 去来(かよひ)は行けど わが恋ふる 君にしあらねば 昼は 日の暮るるまで 夜(よる)は 夜(よ)の明くる極(きは)み 思ひつつ 眠(い)も寝(ね)がてにと 明(あか)しつらくも 長きこの夜(よ)を
巻四(四八五)
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神の時代から生まれ継ぎきたので、人は多く国に満ちてあじ鴨のように群れて路を行くけれど、私の恋しい人ではないので、昼は日の暮れるまで、夜は夜の明けるまで一晩中、君を思いつつ、眠ることも出来ずに過ごしています。長いこの夜を。
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この歌は崗本天皇(をかもとのすめらみこと)の御製歌とされる恋歌。
崗本天皇は高市岡本宮(舒明天皇)と後岡本宮(斉明天皇)の二代の天皇があり、どちらのことかはっきりと分かっていないようです。
まあ、路を往く人々を見て自分の愛しい人ではないかと眺めるなど女性らしい繊細な心情を詠った表現の歌なので、斉明天皇の作であるとの解釈が多いようですが…
そんな「路を行く人々は多く国に満ちているけれど、自分の恋する人ではないので昼も夜も愛しい人を思って眠ることさえできない」との、なんとも切ない恋心が詠われた長歌ですね。
愛しい人のことを思って夜も眠れないといった経験は、現代を生きるみなさんにも共感できる感情ではないでしょうか。
ただ、天皇ほどの権力を持つものが本当にこんな切ない思いで人に恋をしたのかというとちょっと僕には疑問に感じないこともないのですが。
あるいは愛しい人を亡くした挽歌として詠まれたものを、亡き人を恋うというその内容から相聞歌の中に入れられたようなそんな気もします。
(まあ、それもあくまで想像にすぎませんが…)
奈良県高取町大字車木にある宮内庁指定の斉明天皇陵。
奈良県明日香村にある牽牛子塚古墳。
こちらが本当の斉明天皇の墓ではないかともいわれています。
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万葉集巻四
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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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