万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
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(サイト制作者:黒路よしひろ)

万葉集巻四
万葉集の巻四のページです。


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万葉集全巻一覧
万葉集全歌一覧(巻一 〜 巻四)

万葉集全歌一覧(巻五 〜 巻八)
(万葉集の全歌一覧ページです。)

巻一  巻二  巻三  巻四

巻五  巻六  巻七  巻八

巻十六

(他の巻もまた追加していきます)

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万葉集巻四

四八四:一日こそ人も待ちよき長き日を
(磐姫皇后)

四八五:神代より 生れ継ぎ来れば 人多に 国には満ちて
(崗本天皇〔斉明天皇?〕)

四八六:山の端にあぢ群騒き行くなれど
(崗本天皇〔斉明天皇?〕)

四八七:淡海路の鳥籠の山なる不知哉川
(崗本天皇〔斉明天皇?〕)

四八八:君待つとわが恋ひをればわが屋戸の
(額田王)

四八九:風をだに恋ふるは羨もし風をだに
(鏡王女)

四九〇:真野の浦の淀の継橋情ゆも
(吹黄刀自)

四九一:河の上のいつ藻の花の何時も何時も
(吹黄刀自)

四九二:衣手に取りとどこほり泣く児にも
(舎人吉年)

四九三:置きて行かば妹恋ひむかも敷栲の
(田部忌寸櫟子)

四九四:吾妹子を相知らしめし人をこそ
(田部忌寸櫟子?)

四九五:朝日影にほへる山に照る月の
(田部忌寸櫟子?)

四九六:み熊野の浦の浜木綿百重なす
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

四九七:古にありけむ人もわがごとか
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

四九八:今のみの行業にはあらず古の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

四九九:百重にも来及かぬかもと思へかも
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

五〇〇:神風の伊勢の浜荻折り伏せて
(碁檀越の妻)

五〇一:未通女等が袖布留山の瑞垣の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

五〇二:夏野ゆく牡鹿の角の束の間も
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

五〇三:珠衣のさゐさゐしづみ家の妹に
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

五〇四:君が家にわが住坂の家道をも
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕の妻)

五〇五:今更に何をか思はむうちなびき
(安倍女郎)

五〇六:わが背子は物な思ひそ事しあらば
(安倍女郎)


五〇七:敷栲の枕ゆくくる涙にそ
(駿河采女)


五〇八:衣手の別く今夜より妹もわれも
(三方沙弥)


五〇九:臣女の 匣に乗れる 鏡なす 御津の浜辺に
(丹比笠麿〔丹比笠麻呂〕)


五一〇:白栲の袖解きかへて還り来む
(丹比笠麿〔丹比笠麻呂〕)


五一一:わが背子はいづく行くらむ奥つもの
(大麻麿大夫〔當麻麻呂大夫〕の妻)


五一二:秋の田の穂田の刈ばかか寄り合はば
(草嬢〔蚊屋娘〕)


五一三:大原のこの厳柴の何時しかと
(志貴皇子)

五一四:わが背子が著せる衣の針目落ちず
(阿倍女郎)


五一五:独り宿て絶えにし紐をゆゆしみと
(中臣東人)


五一六:わが持たる三相によれる糸もちて
(阿倍女郎)


五一七:神樹にも手は触るとふをうつたへに
(大伴安麿〔大伴安麻呂〕)


五一八:春日野の山辺の道を恐なく
(石川郎女)


五一九:雨障常する君はひさかたの
(大伴女郎)


五二〇:ひさかたの雨も降らぬか雨つつみ
(作者不詳)


五二一:庭に立つ麻手刈り干し布さらす
(常陸娘子)


五二二:をとめ等が珠匣なる玉櫛の
(藤原麿〔藤原麻呂〕)


五二三:よく渡る人は年にもありとふを
(藤原麿〔藤原麻呂〕)


五二四:むしぶすま柔やが下に臥せれども
(藤原麿〔藤原麻呂〕)


五二五:佐保河の小石ふみ渡りぬばたまの
(大伴坂上郎女)


五二六:千鳥鳴く佐保の河瀬のさざれ波
(大伴坂上郎女)


五二七:来むといふも来ぬ時あるを来じといふを
(大伴坂上郎女)


五二八:千鳥鳴く佐保の河門の瀬を広み
(大伴坂上郎女)


五二九:佐保河の岸のつかさの柴な刈りそね
(大伴坂上郎女)


五三〇:赤駒の越ゆる馬柵結びてし
(聖武天皇)


五三一:梓弓爪引く夜音の遠音にも
(海上女王)


五三二:うち日さす宮に行く児をまがなしみ
(大伴宿奈麿〔大伴宿奈麻呂〕)


五三三:難波潟潮干の波残飽くまでに
(大伴宿奈麿〔大伴宿奈麻呂〕)


五三四:遠妻の ここにあらねば 玉桙の 道をた遠み
(安貴王)


五三五:敷栲の手枕巻かず間置きて
(安貴王)


五三六:飫宇の海の潮干の潟の片恋に
(門部王)


五三七:言清くいたくも言ひそ一日だに
(高田女王)


五三八:他辞を繁み言痛み逢はざりき
(高田女王)


五三九:わが背子し遂げむと言はば人言は
(高田女王)


五四〇:わが背子に復は逢はじかと思へばか
(高田女王)


五四一:現世には人言繁し来む生にも
(高田女王)


五四二:常止まず通ひし君が使来ず
(高田女王)


五四三:大君の 行幸のまにま 物部の 八十伴の雄と
(笠金村)


五四四:後れゐて恋ひつつあらずは紀伊の国の
(笠金村)


五四五:わが背子が跡ふみ求め追ひ行かば
(笠金村)


五四六:三香の原 旅の宿りに 玉桙の 道の行き合ひに
(笠金村)


五四七:天雲の外に見しより吾妹子に
(笠金村)


五四八:今夜の早く明くればすべを無み
(笠金村)


五四九:天地の神も助けよ草枕
(作者不詳)


五五〇:大船の思ひたのみし君が去なば
(作者不詳)


五五一:大和路の島の浦廻に寄する波
(作者不詳)


五五二:わが君はわけをば死ねと思へかも
(大伴三依)


五五三:天雲の遠隔の極遠けども
(丹生女王)


五五四:古の人の食こせる吉備の酒
(丹生女王)


五五五:君がため醸みし待酒安の野に
(大伴旅人)


五五六:筑紫船いまだも来ねばあらかじめ
(賀茂女王)


五五七:大船を漕ぎの進みに磐に触れ
(土師水道)


五五八:ちはやぶる神の社にわが掛けし
(土師水道)


五五九:事も無く生き来しものを老なみに
(大伴百代)


五六〇:恋ひ死なむ後は何せむ生ける日の
(大伴百代)


五六一:思はぬを思ふといはば大野なる
(大伴百代)


五六二:暇無く人の眉根をいたづらに
(大伴百代)


五六三:黒髪に白髪交り老ゆるまで
(大伴坂上郎女)


五六四:山菅の実成らぬことをわれに依せ
(大伴坂上郎女)


五六五:大伴の見つとは言はじあかなさし
(賀茂女王)


五六六:草枕旅行く君を愛しみ
(大伴百代)


五六七:周防なる磐国山を越えむ日は
(山口忌寸若麻呂〔山口忌寸若麿〕)


五六八:み崎廻の荒磯に寄する五百重波
(門部石足)


五六九:韓人の衣染むとふ紫の
(麻田陽春)


五七〇:大和へに君が立つ日の近づけば
(麻田陽春)


五七一:月夜よし河音清けしいざここに
(大伴四綱)


五七二:まそ鏡見飽かぬ君に後れてや
(沙弥満誓)


五七三:ぬばたまの黒髪変り白髪ても
(沙弥満誓)


五七四:ここにありて筑紫や何処白雲の
(大伴旅人)


五七五:草香江の入江に求食る葦鶴の
(大伴旅人)


五七六:今よりは城の山道は不楽しけむ
(葛井大成)


五七七:わが衣人にな著せそ網引する
(大伴旅人)


五七八:天地と共に久しく住まはむと
(大伴三依)


五七九:見奉りていまだ時だに更らねば
(余明軍)


五八〇:あしひきの山に生ひたる菅の根の
(余明軍)


五八一:生きてあらば見まくも知らず何しかも
(大伴坂上大嬢)


五八二:丈夫もかく恋ひけるを手弱女の
(大伴坂上大嬢)


五八三:つき草の移ろひやすく思へかも
(大伴坂上大嬢)

五八四:春日山朝立つ雲のゐぬ日無く
(大伴坂上大嬢)

五八五:出でて去なむ時しはあらむを故に
(大伴坂上郎女)

五八六:相見ずは恋ひざらましを妹を見て
(大伴稲公〔大伴坂上郎女の代作〕)


五八七:わが形見見つつ思はせあらたまの
(笠女郎〔笠郎女〕)

五八八:白鳥の鳥羽山松の待ちつつそ
(笠女郎〔笠郎女〕


五八九:衣手を打廻の里にあるわれを
(笠女郎〔笠郎女〕


五九〇:あらたまの年の経ぬれば今しはと
(笠女郎〔笠郎女〕


五九一:わが思を人に知るれや玉匣
(笠女郎〔笠郎女〕


五九二:闇の夜に鳴くなる鶴の外のみに
(笠女郎〔笠郎女〕


五九三:君に恋ひ甚も術なみ平山の
(笠女郎〔笠郎女〕


五九四:わが屋戸の夕影草の白露の
(笠女郎〔笠郎女〕


五九五:わが命の全けむかぎり忘れめや
(笠女郎〔笠郎女〕


五九六:八百日行く浜の沙もわが恋に
(笠女郎〔笠郎女〕)


五九七:うつせみの人目を繁み石橋の
(笠女郎〔笠郎女〕)


五九八:恋にもそ人は死にする水無瀬河
(笠女郎〔笠郎女〕)


五九九:朝霧のおほに相見し人ゆゑに
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇〇:伊勢の海の磯もとどろに寄する波
(笠郎女〔笠郎女〕)


六〇一:情ゆも吾は思はざりき山河も
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇二:夕さればもの思ひ益る見し人の
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇三:思ふにし死するものにあらませば
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇四:剣太刀身に取り副ふと夢に見つ
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇五:天地の神の理なくはこそ
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇六:われも思ふ人もな忘れおほなわに
(笠女郎〔笠郎女〕


六〇七:皆人を寝よとの鐘は打つなれど
(笠郎女〔笠郎女〕)


六〇八:相思はぬ人を思ふは大寺の
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇九:情ゆも我は思はざりきまたさらに
(笠女郎〔笠郎女〕)


六一〇:近くあらば見ずともあらむをいや遠く
(笠女郎〔笠郎女〕)


六一一:今更に妹に逢はめやと思へかも
(大伴家持)


六一二:なかなかに黙もあらましを何すとか
(大伴家持)


六一三:物思ふと人に見えじとなまじひに
(山口女王)


六一四:相思はぬ人をやもとな白栲の
(山口女王)


六一五:わが背子は相思はずとも敷栲の
(山口女王)


六一六:剣太刀名の惜しけくもわれは無し
(山口女王)


六一七:葦辺より満ち来る潮のいやましに
(山口女王)


六一八:さ夜中に友呼ぶ千鳥もの思ふと
(大神女郎)


六一九:押し照る 難波の菅の ねもころに 君が聞して
(大伴坂上郎女)


六二〇:初めより長くいひつつたのめずは
(大伴坂上郎女)


六二一:間無く恋ふるにかあらむ草枕
(佐伯東人の妻)


六二二:草枕旅に久しくなりぬれば
(佐伯東人)


六二三:松の葉に月は移りぬ黄葉の
(池辺王)


六二四:道にあひて咲まししからに降る雪の
(聖武天皇)


六二五:沖方行き辺を行き今や妹がため
(高安王)


六二六:君により言の繁きを古郷の
(八代女王)


六二七:わが袂まかむと思はむ丈夫は
(娘子)


六二八:白髪生ふる事は思わず変水は
(佐伯赤麿〔佐伯赤麻呂〕)


六二九:何すとか使の来つる君をこそ
(大伴四綱)


六三〇:初花の散るべきものを人言の
(佐伯赤麿〔佐伯赤麻呂〕)


六三一:表辺なきものかも人はしかばかり
(湯原王)


六三二:目には見て手には取らえぬ月の内の
(湯原王)


六三三:ここだくも思ひけめかも敷栲の
(娘子)


六三四:家にして見れど飽かぬを草枕
(娘子)


六三五:草枕旅には妻は率たれども
(湯原王)


六三六:わが衣形見に奉る敷栲の
(湯原王)


六三七:わが背子が形見の衣妻問に
(娘子)


六三八:ただ一夜隔てしからにあらたまの
(湯原王)


六三九:わが背子がかく恋ふれこそぬばたまの
(娘子)


六四〇:はしけやし間近き里を雲居にや
(湯原王)


六四一:絶ゆと言はば侘しみせむと焼太刀の
(娘子)


六四二:吾妹子が恋ひ乱れたり反転に
(湯原王)


六四三:世間の女にしあらばわが渡る
(紀女郎)


六四四:今は吾は侘びそしにける気の緒に
(紀女郎)


六四五:白栲の袖別るべき日を近み
(紀女郎)


六四六:丈夫の思ひ侘びつつ度まねく
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


六四七:心には忘るる日無く思へども
(大伴坂上郎女)


六四八:相見ずて日長くなりぬこのころは
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


六四九:夏葛の絶えぬ使のよどめれば
(大伴坂上郎女)


六五〇:吾妹子は常世の国に住みけらし
(大伴三依)


六五一:ひさかたの天の露霜おきにけり
(大伴坂上郎女)


六五二:玉主に玉は授けてかつがつも
(大伴坂上郎女)


六五三:情には忘れぬものをたまさかに
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


六五四:相見ては月も経なくに恋ふと言はば
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


六五五:思はぬを思ふと言はば天地の
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


六五六:われのみそ君には恋ふるわが背子が
(大伴坂上郎女)


六五七:思はじと言ひてしものを朱華色の
(大伴坂上郎女)


六五八:思へども験なしと知るものを
(大伴坂上郎女)


六五九:あらかじめ人言繁しかくしあらば
(大伴坂上郎女)


六六〇:汝をと吾を人そ離くなるいで吾君
(大伴坂上郎女)


六六一:恋ひ恋ひて逢へる時だに愛しき
(大伴坂上郎女)


六六二:網児の山五百重隠せる佐堤の崎
(市原王)


六六三:佐保わたり吾家の上に鳴く鳥の
(安都年足)


六六四:石上ふるとも雨に障らめや
(大伴像見)


六六五:向ひゐて見れども飽かぬ吾妹子に
(安倍虫麿〔阿倍虫麻呂〕)


六六六:相見ぬはいく久さにもあらなくに
(大伴坂上郎女)


六六七:恋ひ恋ひて逢ひたるものを月しあれば
(大伴坂上郎女)


六六八:朝に日に色づく山の白雲の
(厚見王)


六六九:あしひきの山橘の色に出でよ
(春日王)


六七〇:月読の光に来ませあしひきの
(湯原王)


六七一:月読の光は清く照らせれど
(作者不詳)


六七二:倭文手纏数にもあらぬ命もち
(安倍虫麿〔安倍虫麻呂〕)


六七三:まそ鏡磨ぎし心をゆるしなば
(大伴坂上郎女)


六七四:真玉付くをちこちかねて言はいへど
(大伴坂上郎女)


六七五:をみなへし佐紀沢に生ふる花かつみ
(中臣女郎)


六七六:海の底奥を深めてわが思へる
(中臣女郎)


六七七:春日山朝ゐる雲のおほほしく
(中臣女郎)


六七八:直に逢ひて見てばのみこそたまきはる
(中臣女郎)


六七九:否と言はば強ひめやわが背菅の根の
(中臣女郎)


六八〇:けだしくも人の中言聞せかも
(大伴家持)


六八一:なかなかに絶ゆとし言はばかくばかり
(大伴家持)


六八二:思ふらむ人にあらなくにねもころに
(大伴家持)


六八三:いふ言の恐き国そ紅の
(大伴坂上女郎)


六八四:今は吾は死なむよわが背生けるとも
(大伴坂上郎女)


六八五:人言を繁みか君の二鞘の
(大伴坂上郎女)


六八六:このころは千歳や往きも過ぎぬると
(大伴坂上郎女)


六八七:愛しとわが思ふこころ速河の
(大伴坂上郎女)


六八八:青山を横切る雲の著ろく
(大伴坂上郎女)


六八九:海山も隔たらなくに何しかも
(大伴坂上郎女)


六九〇:照らす日を闇に見なして泣く涙
(大伴坂上郎女)


六九一:ももしきの大宮人は多かれど
(大伴家持)


六九二:表辺なき妹にもあるかもかくばかり
(大伴家持)


六九三:かくのみし恋ふや渡らむ秋津野に
(大伴千室)


六九四:恋草を力車に七車積みて
(広河女王)


六九五:恋は今はあらじとわれは思ひしを
(広河女王)


六九六:家人に恋ひ過ぎめやもかはづ鳴く
(石川広成)


六九七:わが聞きにかけてな言ひそ刈薦の
(大伴像見)


六九八:春日野に朝ゐる雲のしくしくに
(大伴像見)


六九九:一瀬には千たび障らひ逝く水の
(大伴像見)


七〇〇:かくしてやなほや退らむ近からぬ
(大伴家持)


七〇一:はつはつに人を相見ていかならむ
(河内百枝娘子)


七〇二:ぬばたまのその夜の月夜今日までに
(河内百枝娘子)


七〇三:わが背子を相見しその日今日までに
(巫部麻蘇娘子)


七〇四:栲繩の永き命を欲りしくは
(巫部麻蘇娘子)


七〇五:葉根蘰今する妹を夢に見て
(大伴家持)


七〇六:葉根蘰今する妹は無かりしを
(童女)


七〇七:思ひ遣るすべの知らねば片もひの
(粟田女娘子)


七〇八:またも逢はむ因もあらぬか白栲の
(粟田女娘子)


七〇九:夕闇は路たづたづし月待ちて
(豊前国娘子)


七一〇:み空行く月の光にただ一目
(安都扉娘子)


七一一:鴨鳥の遊ぶこの池に木の葉落ちて
(丹波大女娘子)


七一二:味酒三輪の祝がいはふ杉
(丹波大女娘子)


七一三:垣穂なす人言聞きてわが背子が
(丹波大女娘子)


七一四:情には思ひ渡れど縁を無み
(大伴家持)


七一五:千鳥鳴く佐保の河門の清き瀬を
(大伴家持)


七一六:夜昼といふ別知らにわが恋ふる
(大伴家持)


七一七:つれも無くあるらむ人を片思に
(大伴家持)


七一八:思はぬに妹が笑ひを夢にみて
(大伴家持)


七一九:丈夫と思へるわれをかくばかり
(大伴家持)


七二〇:村肝の情くだけてかくばかり
(大伴家持)


七二一:あしひきの山にしをれば風流なみ
(大伴坂上郎女)


七二二:かくばかり恋ひつつあらずは石木にも
(大伴家持)


七二三:常世にと わが行かなくに 小金門に もの悲しらに
(大伴坂上郎女)


七二四:朝髪の思ひ乱れてかくばかり
(大伴坂上郎女)


七二五:にほ鳥の潜く池水情あらば
(大伴坂上郎女)


七二六:外にゐて恋ひつつあらずは君が家の
(大伴坂上郎女)


七二七:忘れ草わが下紐に着けたれど
(大伴家持)


七二八:人も無き国もあらぬか吾妹子と
(大伴家持)


七二九:玉ならば手にも巻かむをうつせみの
(大伴坂上大嬢)


七三〇:逢はむ夜は何時もあらむを何すとか
(大伴坂上大嬢)


七三一:わが名はも千名の五百名に立ちぬとも
(大伴坂上大嬢)


七三二:今しはし名の惜しけくもわれは無し
(大伴家持)


七三三:うつせみの世やも二行く何すとか
(大伴家持)


七三四:わが思ひかくてあらずは玉にもが
(大伴家持)


七三五:春日山霞たなびき情ぐく
(大伴坂上大嬢)


七三六:月夜には門に出で立ち夕占問ひ
(大伴家持)


七三七:かにかくに人は言ふとも若狭道の
(大伴坂上大嬢)


七三八:世間し苦しきものにありけらし
(大伴坂上大嬢)


七三九:後瀬山後も逢はむと思へこそ
(大伴家持)


七四〇:言のみを後も逢はむとねもころに
(大伴家持)


七四一:夢の逢は苦しかりけり覚きて
(大伴家持)


七四二:一重のみ妹が結ばむ帯をすら
(大伴家持)


七四三:わが恋は千引の石を七ばかり
(大伴家持)


七四四:暮さらば屋戸開け設けてわれ待たむ
(大伴家持)


七四五:朝夕に見む時さへや吾妹子が
(大伴家持)


七四六:生ける世に吾はいまだ見ず言絶えて
(大伴家持)


七四七:吾妹子が形見の衣下に着て
(大伴家持)


七四八:恋死なむそこも同じそ何せむに
(大伴家持)


七四九:夢にだに見えばこそあらめかくばかり
(大伴家持)


七五〇:思ひ絶えわびにしものをなかなかに
(大伴家持)


七五一:相見ては幾日も経ぬをここだくも
(大伴家持)


七五二:かくばかり面影のみに思ほえば
(大伴家持)


七五三:相見てはしましく恋は和ぎむかと
(大伴家持)


七五四:夜のほどろわが出でて来れば吾妹子が
(大伴家持)


七五五:夜のほどろ出でつつ来らく遍多く
(大伴家持)


七五六:外にゐて恋ふるは苦し吾妹子を
(大伴田村大嬢)


七五七:遠くあらばわびてもあらむを里近く
(大伴田村大嬢)


七五八:白雲のたなびく山の高高に
(大伴田村大嬢)


七五九:いかならむ時にか妹を葎生の
(大伴田村大嬢)


七六〇:うち渡す竹田の原に鳴く鶴の
(大伴坂上郎女)


七六一:早河の瀬にゐる鳥の縁を無み
(大伴坂上郎女)


七六二:神さぶと否とにはあらねはたやはた
(紀女郎)


七六三:玉の緒を沫緒によりて結べらば
(紀女郎)


七六四:百年に老舌出でてよよむとも
(大伴家持)


七六五:一重山隔れるものを月夜よみ
(大伴家持)


七六六:路遠み来じとは知れるものからに
(藤原郎女)


七六七:都路を遠みか妹がこのころは
(大伴家持)


七六八:今しらす久邇の京に妹に逢はず
(大伴家持)


七六九:ひさかたの雨の降る日をただ独り
(大伴家持)


七七〇:人眼多み逢はなくのみそ情さへ
(大伴家持)


七七一:偽りも似つきてそする顕しくも
(大伴家持)


七七二:夢にだに見えむとわれは保杼毛友逢
(大伴家持)


七七三:言問はぬ木すら紫陽花諸弟らが
(大伴家持)


七七四:百千たび恋ふといふとも諸弟らが
(大伴家持)


七七五:うづら鳴く故りにし郷ゆ思へども
(大伴家持)


七七六:言出しは誰が言なるか小山田の
(紀女郎)


七七七:吾妹子が屋戸の籬を見に行かば
(大伴家持)


七七八:うつたへに籬の姿見まく欲り
(大伴家持)


七七九:板葺の黒木の屋根は山近し
(大伴家持)


七八〇:黒木取り草も刈りつつ仕へめど
(大伴家持)


七八一:ぬばたまの昨日は還しつ今夜だへ
(大伴家持)


七八二:風高く辺には吹けども妹がため
(紀女郎)


七八三:前年の先つ年より今年まで
(大伴家持)


七八四:現にはまたも得言はじ夢にだに
(大伴家持)


七八五:わが屋戸の草の上白く置く露の
(大伴家持)


七八六:春の雨はいや頻降るに梅の花
(大伴家持)


七八七:夢のごと思ほゆるかも愛しきやし
(大伴家持)


七八八:末若み花咲きがたき梅を植ゑて
(大伴家持)


七八九:情ぐく思ほゆるかも春霞
(大伴家持)

七九〇:春風の声にし出なばありさりて
(大伴家持)

七九一:奥山の磐かげに生ふる菅の根の
(藤原久須麿〔藤原久須麻呂〕)

七九二:春雨を待つとにしあらしわが屋戸の
(藤原久須麿〔藤原久須麻呂〕)

巻四:完
巻四についても今後もまた各歌の解説で写真などを追加していく予定です。



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(他の巻もまた追加していきます)

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