万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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朝日影(あさひかげ)にほへる山に照る月の飽(あ)かざる君を山越(やまごし)に置きて
巻四(四九五)
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朝日の輝く山に白く照る月のように、心残りにも君を山の向こうに置いてゆくことだなあ。
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この歌も田部忌寸櫟子(たべのいみきいちひこ)が大宰府(現在の福岡県)に赴任するときに詠まれた一首。
作者については舎人吉年とも、他の廷臣や宮女が唱和した歌だとの説もありますが、「置きて」とあるので田部忌寸櫟子自身が大和に置いてゆく舎人吉年を思って詠んだ歌と解釈したほうが自然な気もします。
ここまでお互いを大切に思い合うのであれば舎人吉年も大宰府に着いて行ってもよさそうな気もしますが、この時代の男女の関係は男が女性の家に通う「通い婚」が普通でしたし男との間にまだ子供のいない女性は実家の保護から離れるということはし辛かったのかも知れませんね。
(まあ、この二人の関係が男女の恋愛関係であったかどうかもはっきりとは分かりませんが…)
「山越に」とは言ってみても大宰府と大和との距離の遠さは、次にいつ会えるかもわからない今生の別れにも近いものとして二人には感じられたことでしょう。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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