万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)の歌四首
み熊野(くまの)の浦(うら)の浜木綿百重(はまゆふももへ)なす心は思(も)へど直(ただ)に逢(あ)はぬかも
巻四(四九六)
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み熊野の浦の浜木綿のように幾重にも君を想うけれど実際に逢うことは出来ないでいるよ。
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この歌は柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)の詠んだ恋歌とされる四首のうちのひとつ。
「み熊野」は牟婁(むろ、現在の三重と和歌山の両県の総称)。
浜木綿(はまゆふ)は葉が幾重にも重なっているのでそれを譬えに出して、「浜木綿のように幾重にも幾重にも君を想っているけれど…」と表現した柿本人麿(人麻呂)らしい技巧的な中にも恋の切なさを感じさせる素敵な一首ですよね。
まあ、実際に女性に贈った歌というよりは宴会などの席で詠まれた戯れ歌なのかも知れませんが、それでも人麿が誰かに実際に恋をしていなければこれほど切なさを感じさせる恋歌は詠めなかったことでしょう。
この歌を口ずさんでいると千年以上も前の人麿の切ない恋心が現在にまで蘇ってくるような、そんな魅力も感じさせてくれますね。
浜木綿(ハマオモト)。
浜木綿は夏に白い花を咲かせます。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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