万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


碁檀越(ごのだんをち)の伊勢国(いせのくに)に往(ゆ)きし時に、留(とどま)れる妻の作れる歌一首

神風(かむかぜ)の伊勢(いせ)の浜荻折(はまをぎを)り伏(ふ)せて旅寝(たびね)やすらむ荒き浜辺(はまべ)に

巻四(五〇〇)
-----------------------------------------------
神の風の吹く伊勢の浜の荻を折り伏せて旅寝しているでしょうか、荒々しい浜辺に。
-----------------------------------------------

この歌は碁檀越(ごのだんをち)が伊勢の国に出向いたときに、家に残った妻が旅先の夫を案じて詠んだ一首。
「碁(ご)」は囲碁をよくするために着いた名で「檀越」は今でいうと旦那の意味らしいですが、そこから付けられた名前として「碁」が姓で「檀越」が名と考えて問題ないでしょう。

この時代、旅に出たものは旅先での不安な心を鎮めるために、家に残してきた妻を一心に思って歌を詠みその心の不安や動揺を鎮めました。
そして家に残った妻もまた、時に旅先の土地の神や道々の霊に祈り、夫を思って歌を詠むことでその旅の無事を祈りました。
この歌もそんな妻が旅先の夫の無事を願って詠んだ一首。
今の時代でも歌にこそ詠んだりはしませんが、それでも愛しい相手の無事を祈って今どうしているだろうかと想像したりする気持ちはよく理解出来ますよね。
万葉の時代の人々はそんな心の結びつきが相手の身を守ると信じて、歌という言霊にその願いを託して詠んだのでしょう。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販