万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)の歌三首

未通女等(をとめら)が袖布留山(そでふるやま)の瑞垣(みづかき)の久しき時ゆ思ひきわれは

巻四(五〇一)
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巫女たちが神を迎えて袖を振る布留山の杜の瑞垣が年久しいように、長い時間を君に恋してきたよ僕は。
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この歌は柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)の詠んだ歌とされる三首のうちの一首。
「布留山」は日本書紀にも記載されている日本最古の神宮のひとつである奈良県天理市布留町の石上神宮の杜周辺の山のこと。
「瑞垣」は「生垣」で、石上神宮の杜そのものを指していると取っていいでしょう。
上の句は「未通女等が袖を振る」の「振る(ふる)」から、同じ響きの「布留(ふる)山」を引き出しているわけですね。

そんな「布留山の石上神宮の杜のたどってきた長い年月のように僕も長い時間を君に恋してきた」と、想い人への切ない恋心を技巧も交えて詠った人麿らしい魅力ある一首のように思います。
こんなふうに長い時間を君に恋焦がれてきたのだと詠われたら、相手の女性もついつい人麿に心を許したのではないでしょうか。
あるいはそんな人麿の想いに応えて妻となったばかりの相手に詠い掛けた一首なのかも知れませんね。
柿本人麿という人物は歌の名手であったと同時に、なかなかの恋の名手でもあったのでしょう。


奈良県天理市布留町の石上神宮。
日本書紀に伊勢神宮とともに神社として記述されている日本最古の神社のひとつです。



石上神宮の前の杜。



石上神宮の鳥居横にあるこの歌の歌碑。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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