万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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柿本朝臣人麿の妻の歌一首
君が家(いへ)にわが住坂(すみさか)の家道(いへぢ)をも吾(われ)は忘れじ命死(いのちし)なずは
巻四(五〇四)
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あなたの家にわたしが住むという住坂の家への道もあなたのことと共に忘れはしません、命が尽きぬ限り。
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この歌は柿本朝臣人麿の妻が詠んだとされる一首。
ただ、一説には下の句の「家への道を忘れじ」という内容が夫が妻の家に通う「妻問い婚」の男の立場にも取れるので、あるいは柿本人麿が妻に向かって詠んだ歌ではないかとも云われています。
この時代の婚姻は妻の実家の側に建てた嬬屋に女を住まわせそこに男が通う「妻問い婚(通い婚)」が普通でしたので、おそらくは家に住むのは妻のほうだろうとの解釈から後の世の編者が妻の歌として題詞をつけたのではないしょうか。
(実際には通い婚だけでなくときには同居婚も行われていたようです)
まあ、そのあたりの作者が誰なのかについてはあまりここでは拘らないことにしますが…
そんな「君の住む住坂の家への道とともにあなたのことを私は決して忘れません。命が尽きるまで」と、命ある限りの愛を誓った一首ですね。
「住坂(すみざか)」は現在の奈良県宇陀市榛原の墨坂のあたりといわれています。
藤原京からは少し遠い地ですが、この地にも柿本人麿が愛した妻が暮らしていたのでしょうね。
奈良県宇陀市榛原にあるこの歌の歌碑。
榛原小学校のグラウンドの道を挟んだ前にあります。
歌碑の解説。
墨坂神社(奈良県宇陀市榛原)にもこの歌の歌碑があります。
墨坂神社拝殿の東横に歌碑が立っています。
手前は作者名の「柿本朝臣人麿妻謌」と「万葉集巻四」と刻まれた石碑。
奈良県宇陀市榛原にある墨坂神社。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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