万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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三方沙弥(みかたのさみ)の歌一首

衣手(ころもで)の別(わ)く今夜(こよひ)より妹もわれもいたく恋ひむな逢ふよしを無み

巻四(五〇八)
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袖を別かつ今夜から妻もわたしもひどく恋い苦しむだろう。もう逢うことも出来ないのだから…
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この歌は三方沙弥(みかたのさみ)の詠んだ一首。
三方沙弥は出家した名で、俗名は山田史三方(やまだのふひとみかた)と言ったようです。
まあ、出家と言っても「沙弥」というのは正式な僧ではなく妻を持ち在家の生活をする者をさす言葉なので、三方沙弥もまたそんな未熟僧のひとりだったのでしょう。

この歌ではそんな三方沙弥が「袖を別かつ今夜から妻もわたしもひどく恋い苦しむだろう。もう逢うことも出来ないのだから…」との、妻との別れを悲しむ一首となっています。
ただ、お互いに「ひどく恋い苦しむだろう。」と詠っていることから、これは心変りによる離縁などではなく何らかの他の理由によって引き裂かれてしまうことになったようですね。
あるいは三方沙弥が朝廷から地方への派遣を命ぜられたのでしょうか。

出家はしても俗世を捨てきれない沙弥らしい、恋の苦悩の一首のように感じられます。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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