万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


志貴皇子(しきのみこ)の御歌一首

大原のこの厳柴(いつしば)の何時(いつ)しかとわが思ふ妹に今夜逢(こよひあ)へるかも

巻四(五一三)
-----------------------------------------------
大原のこの神聖なるいつ柴のようにいつ逢えるだろうかと思っていた君に今夜逢えたよ
-----------------------------------------------

この歌は志貴皇子(しきのみこ)の詠んだとされる恋歌。
志貴皇子は天智天皇の皇子で、壬申の乱のときはまだ幼かったために敵方の皇子でありながら命を奪われずにすみました。
そんな危うい境遇にあったためでしょう、天武・持統天皇の治世下で皇族としての高い地位などを求めようとはせず、ひたすらに目立たぬ生き方を貫いたようです。
この歌でもそんな志貴皇子の出世欲などとは無縁の穏やかな人柄がどことなく感じられますね。

「厳柴(いつしば)」は、大原にかつて神聖な木とされるものがあったのでしょう。
そんな「大原のいつ柴のように、いつ逢えるかと思っていた君に今夜逢えたよ」との、愛しい女生との逢瀬を心から喜んでいる素直さが読み手にも共感となって伝わってくる一首のように思います。
「いつ柴」の「いつ」から「何時(いつ)」を引き出す「調べ(リズム)」も非常に心地よく響いてきますね。
大原の里は今の奈良県明日香村にある奈良県立万葉文化館の東一帯の土地ですが、ここで志貴皇子が想い人とどんな一夜を過ごしたのか想像してみるのも素敵ですね。


奈良県明日香村の大原の里(大原集会所)。
大原は奈良県立万葉文化館や飛鳥坐神社の東周辺の土地です。



明日香村大原の里にあるこの歌の歌碑。
奈良県立万葉文化館の東の交差点の坂を下った遊歩道わきにあります。
大原集会所のすぐ北側の坂の下。



大原の里に立つこの歌の歌碑。



歌の解説が書かれた添碑。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販