万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大納言(だいなごん)兼大将軍大伴卿(たいしやうぐんおほとものまへつきみ)の歌一首

神樹(かむき)にも手は触(ふ)るとふをうつたへに人妻(ひとづま)と言(い)へば触れぬものかも

巻四(五一七)
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触れれば罪を受けるという神の樹にさえ手を触れるというのに、あなたが人妻であるために手を触れることが出来ないでいます。
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この歌は大伴安麿(おほとものやすまろ)の詠んだ恋歌。
大伴安麿は大伴旅人(おほとものたびと)の父で、家持(やかもち)の祖父になります。

そんな安麿が「触れれば罪を受けるという神の樹にさえ手を触れるというのに、あなたが人妻であるために手を触れることが出来ないでいます。」と詠んだ歌ですが、人妻への恋歌とはなんとも大胆な一首ですよね。
もちろん安麿もそのことはよく自覚していてそれゆえに、神罰をも恐れない自分でも人妻であるあなたにだけは手を触れられないでいます、とのこのような苦悩の歌になったのでしょう。

この時代の恋愛は非常に大らかなところがありましたが、それでも人の妻に手を出すことは神罰以上の罪を覚悟しなければならなかったのでしょうね。
それほどに諦めきれないほどの恋心だったのでしょうか。
この歌の人妻が誰なのか。
またこの後、二人がどうなったのかははっきりとしませんが、非常に興味深い恋歌のように思います。


神杉(奈良県桜井市大神神社)。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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