万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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京職(みさとづかさ)、藤原丈夫(ふじはらのうまへつきみ)の大伴郎女(おほとものいらつめ)に贈れる歌三首 卿、諱(いみな)を麿と曰(い)へり
をとめ等(ら)が珠匣(たまくしげ)なる玉櫛(たまぐし)の神(かむ)さびけむも妹に逢はずあれば
巻四(五二二)
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おとめらが美しい箱に仕舞っている立派な櫛のように私も古びてしまっただろうか。あなたと長く逢わずにいるうちに…
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この歌は藤原麿(ふじはらのまろ)が大伴郎女(おほとものいらつめ)に贈った三首の恋歌の内の一首。
藤原麿は新興貴族である藤原不比等(ふじはらのふひと)の子で、いわゆる藤原四兄弟(武智麿・房前・宇合・麿)の四男。
大伴郎女(おほとものいらつめ)は、大伴旅人の異母妹の大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)のことです。
坂上郎女は最初、穂積皇子(ほづみのみこ)に嫁ぎましたが、穂積皇子が亡くなった後、藤原麿の求婚を受けたようですね。
藤原麿はこの後すぐに天然痘で亡くなってしまうのでこの二人が正式な夫婦になったのかどうかははっきりとしないのですが、一説によると麿の子である藤原郎女(ふじはらのいらつめ)の母は大伴坂上郎女ではないかとも云われています。
この歌はそんな藤原麿が坂上郎女に贈った恋歌ですが、「おとめらが美しい箱に仕舞っている立派な櫛のように私も古びてしまっただろうか。あなたと長く逢わずにいるうちに…」と、坂上郎女にしばらく逢えないでいた寂しさを訴えています。
まあ、実際にはそれほど長い時間を逢えないでいたわけではないのでしょうが、坂上郎女と逢えない時間は麿にとってはたとえ一日であっても何年にも感じられるということが言いたかったわけですね。
この歌からしばらく藤原麿と坂上郎女の恋の相聞歌が続きます。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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