万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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また、大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)の歌一首

佐保河の岸のつかさの柴(しば)な刈りそね 在(あ)りつつも春し来(きた)らば立ち隠(かく)るがね

巻四(五二九)
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佐保河の岸の高みの柴は刈らないでください。そのままにして春が来たらあの人と隠れて逢えるように…
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この歌は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が詠んだ恋歌。
おそらくは藤原麿(ふじはらのまろ)を念頭に置いて詠んだものと思われますが、五、七、五、七、七の形式を取る短歌と違いこちらは五、七、七、五、七、七の旋頭歌となっており、民衆の口誦歌をまねて作った戯れの一首でもあるようですね。
ですので、佐保川の岸の高みの柴に隠れて逢瀬したいというのも、あくまで歌の上での空想の願望なのでしょう。
まあ、歌の上でのことであれ、その発想の根本には自身の心があるわけで、坂上郎女も心の底では岸の高みの柴に隠れて麿との逢瀬を楽しみたいとの思いが真実あったのかも知れませんが…

虚構の中に真実を織り交ぜ、真実の中に虚構を織り交ぜる。
この歌もまた、そんな歌の上手であり恋多き女性でもあった坂上郎女らしい一首のように感じられます。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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