万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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天皇(すめらみこと)の海上女王(うなかみのおほきみ)に賜へる御歌一首 寧楽宮(ならのみや)に即位(あめのしたしらしめ)しし天皇なり
赤駒(あかごま)の越ゆる馬柵(うませ)の結びてし妹が情(こころ)は疑ひも無し
右は、今案(かんが)ふるに、この歌は擬古(ぎこ)の作なり。ただ時の当たれるを以(も)ちて、便(すなは)ちこの歌を賜へるか。
巻四(五三〇)
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赤駒が飛び越える馬小屋の柵をしっかりと結ぶように、私と結んだあなたの心は疑いのないことです。
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この歌は聖武天皇(しょうむてんわう)が海上女王(うなかみのおほきみ)に与え賜った御歌。
海上女王は志貴皇子(しきのみこ)の娘で天智天皇の孫。
「赤駒が飛び越える馬小屋の柵をしっかりと結ぶように、私と結んだあなたの心は疑いのないことです。」と、お互いの愛情の結びつきの深さを詠った一首ですね。
ただ、左注によればこの歌はもともと古くから伝誦されていた歌であったようで、この時の場の雰囲気に合っている歌ということで聖武天皇が口ずさまれて海上女王に贈られたのではないかと思われます。
海上女王は聖武天皇の夫人のひとりであったとも云われるので真実に愛を交しあった場での歌とも取れますが、それにしては自身が詠んだ歌でない古歌を贈るのはちょっと変な気もしますね。
あるいは風流を楽しむような場での戯れに贈った恋歌であったのではないでしょうか。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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