万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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二年乙丑(いつちう)の春三月、三香原離宮(みかのはらのとつみや)に幸(いでま)しし時に、娘子(をとめ)を得(え)て作れる歌并せて短歌
笠朝臣金村


三香(みか)の原 旅の宿(やど)りに 玉桙(たまほこ)の 道の行き合(あ)ひに 天雲(あまぐも)の 外(よそ)のみ見つつ 言問(ことと)はむ 縁(よし)の無ければ 情(こころ)のみ 咽(む)せつつあるに 天地(あめつち)の 神祇(かみ)こと寄せて 敷栲(しきたへ)の衣手易(ころもでか)へて 自妻(おのづま)と たのめる今夜(こよひ) 秋の夜の 百夜(ももよ)の長さ ありこせぬかも

巻四(五四六)
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三香の原の旅寝に、娘と玉桙の道の行きずりに出会って、天雲のように遠くみて言葉をかける術もなければ、心の中で咽び泣いていたのだが、天地の神々が承認してくださり、美しい袖を交えてわが妻とたよりにした今夜は、秋の夜のように百夜の長さであってほしいものです。
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この歌は、笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)が神亀二年に、聖武天皇の三香原離宮(みかのはらのとつみや)行幸に従駕したときに土地の娘子を妻として得た喜びを詠った一首。
ただし、この歌は実際の出来事を詠ったものではなく、どうやら土地の娘子を主題として詠むように要請された虚構歌のようですね。

三香原離宮は後の久邇京(くにのみやこ)のこと。
そんな三香の原で「道の行きずりに出会った娘に恋をしたけれど、天雲のように遠くみて言葉をかける術もなく、心の中で咽び泣いていたら、天地の神々が承認してくださりその娘を妻とすることが出来た…」との内容ですね。
「天地の神々が承認してくださり」とは、恋が成就するのは神々の承認があったからとの意味なのでしょう。

歌の最後は、「そんな妻と過ごす春の夜は、秋の夜のように百夜の長さであってほしいものです。」と、短い春の夜の幸せな伴寝のが少しでも長く続いてほしいとの願いが込められています。
なんだか虚構歌と知って読んでも、どこか実際の出来事ででもあるかのような恋の余韻が感じられて素敵な一首ですよね。


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万葉集巻四


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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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