万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴宿禰三依(みより)の歌一首

わが君はわけをば死ねと思へかも逢ふ夜(よ)逢わぬ夜二つ走(ゆ)くらむ

巻四(五五二)
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あなたは私に死ねとお思いだからでしょうか。逢える夜逢えない夜がこもごもすぎて行きます…
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この歌は大伴宿禰三依(おほとものすくねみより)が詠んだ相聞歌。
歌を贈った相手が誰かははっきりとしませんが、おそらくは三依の恋人であった賀茂女王(かものおほきみ)ではないかと思われます。
また、この歌がいつ詠まれたものなのかもはっきりとはしないのですが、この歌の少し後の巻四(五五六)の歌で賀茂女王が筑紫の大伴三依の帰りを待つ歌があることから、おそらく三依が大宰府に派遣されていた頃ではないでしょうか。

だとすると、この歌に詠まれている逢瀬は都にいる賀茂女王が三依の夢の中に出て来るという意味の逢瀬のことで、「あなたは私に死ねとお思いだからでしょうか。夢に出てきてくださって逢える夜と逢えない夜がこもごもすぎて行きます…」との、切ない思いを訴えた恋歌となりそうですね。

ちなみに、女性に対して「わが君」と詠っているのは、これは戯れとも取れますがあるいは相手の賀茂女王が高貴な身分だからでしょうか。
「わけ」というのは「若い奴」の意味ですが、これも賀茂女王に対して自らを卑下した表現のようにも思えます。

そんな遠い地にいる恋人にせめて夢でだけでも毎晩逢いたいとの、なんとも切ない恋心の一首ですよね。


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万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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