万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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土師宿禰水道(はにしのすくねみみち)の、筑紫より京(みやこ)に上る海路(うなぢ)にして作れる歌二首

大船(おほふね)を漕(こ)ぎの進(すす)みに磐(いは)に触(ふ)れ覆(かへ)らば覆(かへ)れ妹(いも)に依(よ)りては

巻四(五五七)
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大船を慌てて漕ぎ進めて岩に触れ、転覆するならそれでもいい。早く愛しい妻に逢いたいのだ
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この歌は筑紫の大宰府に赴任していた土師宿禰水道(はにしのすくねみみち)が、奈良の都に帰って来る時に詠んだ二首の歌のうちのひとつ。
一応、相聞歌の部に収められているということは、詠んだ後に誰かに贈った歌ということでしょうか。
「大船を慌てて漕ぎ進めて岩に触れ、転覆するならそれでもいい。早く愛しい妻に逢いたいのだ」と、都に残してきた妻に早く逢いたい気持ちを豪快な内容で詠った一首となっていますね。

まあ、実際に土師水道たちの乗った船がそんな荒れた速度で慌てて進んでいたというよりは、これは都へ帰れる愉快さが詠ませた一種の戯笑歌なのでしょうね。
それほどまでに、筑紫という辺境の地から都へ帰る旅は土師水道の心を躍らせたのでしょう。
そんな喜びが素直に表現されている気持ちのいい一首のように思います。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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