万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
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(解説:黒路よしひろ)

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賀茂女王(かものおほきみ)の歌一首

大伴(おほとも)の見つとは言(い)はじあかなさし照れる月夜に直(ただ)に逢へりとも

巻四(五六五)
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大伴の御津のようにあなたを「見つ」とは誰にも言いません。茜色に照る月夜に直接お逢しても…
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この歌は賀茂女王(かものおほきみ)が詠んだ恋歌。
賀茂女王がこの歌を贈った相手は恋人の大伴三依(おほとものみより)とみて間違いないでしょう。

「大伴(おほとも)の見つ」は「大伴氏の領地の津」の意味で、難波地方の港のこと。
同時に「大伴(三依)を見た」の意味と、三依の名前の「大伴三(みつ)」の意味を掛けて、「大伴三依に逢ったこととその名前は誰にも言いません」との意味が込められているわけですね。
「茜色に照る月夜に直接お逢しても、大伴の御津のようにあなたを「見つ」とは誰にも言いません。」と、倒置して読むと分かりやすいでしょうか。

賀茂女王は謀反の罪で自害に追いやられた長屋王(ながやのおほきみ)の娘で、そんな謀反人の娘である自分との関係を公にはしたくないだろうとの気遣いの歌のようにも取れますが、歌の雰囲気から解釈するならこれは単純に三依に恋の浮名が立つことを避けたいとの内容と解釈したほうがいいのかも。

大伴三依と賀茂女王のこの後の関係については歴史の記録などにもはっきりとは残っていないのですが、最後には結ばれたのだと信じたいものですね。


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万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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