万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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太宰師(だざいのそち)大伴卿(のまへつきみ)の京(みやこ)に上がりし後に、沙弥満誓(さみまんせい)の卿に贈れる歌二首

まそ鏡見飽(あ)かぬ君に後(おく)れてや朝夕(あしたゆうへ)にさびつつ居(を)らむ

巻四(五七二)
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まそ鏡のように見飽きないあなたに後に残されて私はこれから朝夕寂しく暮らすのでしょう
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この歌は大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)が奈良の都へ帰った後に、筑紫の沙弥満誓(さみまんせい)が旅人に贈った二首の歌のうちのひとつ。
沙弥満誓は俗名を笠麿(かさのまろ)と言い元明天太上天皇の病を理由に出家し、養老七年(七二三)造筑紫観世音寺別当として大宰府に下向しました。
大宰府では旅人ととくに交友の深かったひとりだったようですね。

「まそ鏡」は「見る」などにかかる枕詞。
そんな沙弥満誓が詠んだ「まそ鏡のように見飽きないあなたに後に残されて私はこれから朝夕寂しく暮らすのでしょう」との、旅人の居なくなった大宰府の寂しさを詠って心に染みてくるような一首ですよね。

大宰師としての大宰府への赴任中に旅人を中心として形成された歌人たちの集まりは、後の世に筑紫歌壇と呼ばれる独自の盛り上がりを見せました。
そんな華やかな大宰府の日々も、旅人が奈良の都へ帰ったことによって自然に消滅していくことになります。
沙弥満誓には、旅人が居なくなったことで華やぎを失くした筑紫での日々が人一倍寂しく感じられたのでしょうね。


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万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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