万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大宰師大伴卿(そちょおおとものまへつきみ)の京(みやこ)に上(のぼ)りし後に、筑後守葛井連大成(ふぢゐのむらじおほなり)の、悲嘆(かなし)びて作れる歌一首

今よりは城(き)の山道(やまみち)は不楽(さぶ)しけむわが通(かよ)はむと思ひしものを

巻四(五七六)
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これからは大宰府に行く城の山道も寂しくなります。わたしはずっと楽しく通おうと思っていたのに…
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この歌は大宰師としての任を終えて奈良の都に帰った大伴旅人(おほとものたびと)に、筑後守葛井連大成(ふぢゐのむらじおほなり)が贈った一首。
「城(き)の山」は基山のことで、筑後守の葛井大成は筑後の国府からこの山を越えて大宰府に通ったのでしょう。
そんな「大宰府に行く城の山道もこれからは寂しくなります。わたしはずっと楽しく通おうと思っていたのに…」と、旅人の居なくなった大宰府に通うことの張り合いの無さと寂しさを訴えた一首ですね。

もちろん、挨拶歌としての大げさな表現も含まれてはいるのでしょうけれど、旅人がいたころの後の世に「筑紫歌壇」とも呼ばれる大宰府の華やぎが旅人の帰京とともに急速に失われていったことも事実だったようです。
この歌の「不楽(さぶ)しけむ」との言葉には、そんな大宰府の様子を肌で感じた葛井大成の心の底からの思いだったようにも感じられます。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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