万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大宰師大伴卿の、新しき袍(うへのきぬ)を摂津大夫高安王(つのたいふたかやすのおほきみ)に贈れる歌一首
わが衣(ころも)人にな著(き)せそ網引(あびき)する難波壮士(なにはをとこ)の手には触(ふ)るとも
巻四(五七七)
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私の贈る着物は他人には着せないでください。網引きするような難波男の手が荒々しく扱うのはいいけれど…
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この歌は大伴旅人(おほとものたびと)が、摂津大夫高安王(つのたいふたかやすのおほきみ)に新しい着物を贈ったときに添えた一首。
高安王は長皇子(ながのみこ)の孫で、このころは摂津大夫として難波に派遣されていたようですね。
おそらくは旅人が大宰府から奈良の都へ帰って来る時に摂津の国で高安王に世話になり、そのお礼に着物を贈ったのではないでしょうか。
「難波壮士(なにはをとこ)」とは、この場合は高安王のことを戯れてこう呼んでいるわけですね。
「私の贈る着物は他人には着せないでください。網引きするような難波男の手が荒々しく扱うのはいいけれど…」といった感じで、高安王が荒々しく扱ってくださるのはかまわないけれど他の人には着せないでくださいよ、との戯れの挨拶歌といったところでしょう。
大伴旅人らしいなんとも面白味のある一首ですよね。
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万葉集巻四
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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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