万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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余明軍(よのみやうぐん)の大伴宿禰家持に与(あた)へたる歌二首 明軍は大納言卿の資人(しじん)なり
見奉(みまつ)りていまだ時だに更(かは)らねば年月のごと思ほゆる君
巻四(五七九)
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お世話をさせていただいていまだ時も経っていないですが、これからも長い年月をお仕えしたいと思われるあなた様です。
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この歌は余明軍(よのみやうぐん)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った二首の歌のうちのひとつ。
余明軍は百済系の氏族で、この頃は大伴旅人(おほとものたびと)の資人(しじん)として仕えていました。
「資人(しじん)」とは、朝廷の高位の者に与えられる舎人のこと。
そんな余明軍が主人の旅人の子息である家持に対して「お世話をさせていただいていまだ時も経っていないですが、これからも長い年月をお仕えしたいと思われるあなた様です。」と、いわば忠誠を誓ったような一首なわけですね。
「お世話をさせていただいていまだ時も経っていない」と言っていることから、おそらく余明軍が旅人の資人になったのは旅人が大宰府から帰京して大納言に昇進した時からだったのでしょう。
この歌はそんな主人の子息である家持への挨拶歌といったところでしょうか。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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