万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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笠女郎(かさのいらつめ)の大伴宿禰家持に贈れる歌二十四首

わが形見(かたみ)見つつ思(しの)はせあらたまの年(とし)の緒(を)長くわれも思(おも)はむ

巻四(五八七)
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この形見を見ながら私のことを思い出してください。あらたまの年を経ても長く私もあなたを思っていますから。
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この歌は笠女郎(かさのいらつめ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った二十四首の相聞歌のひとつ。
笠女郎(笠郎女とも)については詳しいことは分からないのですが、一説によると笠金村(かさのかねむら)の娘ともいい大伴家持に対して熱烈な恋心を抱いていたようです。
ただ、家持も最初は笠女郎に対して愛情を抱いていたようなのですが、なんらかの理由で途中からその心は遠ざかって行ったようです。

そんな心変りを知ってか知らずか、笠女郎は切ない恋の想いを二十四首もの歌に託して家持に贈ります。

この歌もそんな家持への想いを切実に詠った一首。
「この形見を見ながら私のことを思い出してください。あらたまの年を経ても長く私もあなたを思っていますから。」との、なんともいじらしい女心ですよね。

「形見」は死んだ人を偲ぶだけものではなく生きている人を偲ぶのにも使われた言葉で、この場合は笠女郎を思い出せるようななんらかのものを歌とともに贈ったのでしょう。
「あらたまの」は「年」に懸る枕詞。
そんな「長い年月を経ても私もあなたを思っていますから」との恋の誓がなんとも切なく響いてきますね。


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万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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