万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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西海道節度使(さいかうだうのせつどし)の判官佐伯宿禰東人(じようさへきのすくねあづまひと)の妻の、夫(せ)の君に贈れる歌一首

間無(あひだなく)く恋ふるにかあらむ草枕旅なる君の夢にし見ゆる

巻四(六二一)
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絶え間なく私は恋い慕っているのでしょうか。草を枕の旅のあなたが夢に見えました。
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この歌は西海道節度使(さいかうだうのせつどし)に任ぜられた佐伯宿禰東人(さへきのすくねあづまひと)が任地へ赴いたときに、奈良の都に残った妻が詠んだ一首。
西海道とは九州のことで、節度使は各地の軍団を統括するために派遣された官。
旅といってもこの場合は奈良の都と九州との道中だけでなく、旅立った佐伯東人が帰って来るまでの期間すべてが旅になるわけですね。

そんな西海道節度使として九州の地に向かった夫を思って「絶え間なく私は恋い慕っているのでしょう。草を枕の旅のあなたが夢に見えました。」との、妻の夫を愛しむ気持ちがよく表れている一首です。
この時代、夢に誰かが現れるのは普通はその人が自分のことを深く思ってくれている証拠だとされていましたが、この歌の場合は逆に自分の側が深く相手を思っているわけですね。
旅先の夫に夢でしか逢えない妻の独り寝のつらさを訴えた切ない一首となっています。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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