万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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高安王(たかやすのおほきみ)の裹(つつ)める鮒(ふな)を娘子(をとめ)に贈れる歌一首 高安王は後に姓(かばね)大原真人(まひと)の氏を賜へり
沖方(おきへ)行き辺(へ)を行き今や妹(いも)がためわが漁(すなど)れる藻臥(もふ)し束鮒(つかふな)
巻四(六二五)
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沖へ行き岸を行きたった今、あなたのために私が獲って来た藻臥しの鮒です。
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この歌は高安王(たかやすのおほきみ)が裹(つつ)んだ鮒(ふな)を娘子(をとめ)に贈ったときに添えた一首。
高安王は、天武天皇の子である長皇子の孫で、後に大原真人の氏を賜って大原真人高安(おほはらのまひとたかやす)となりました。
そんな高安王が想い人である娘子に贈った鮒に添えた一首ですが「沖へ行き岸を行きたった今、あなたのために私が獲って来た藻臥しの鮒です。」と、娘子のために苦労して獲って来た鮒であることを詠っています。
「藻臥しの鮒」とは藻の中に潜む小さな鮒のこと。
「裹(つつ)む」はこの時代、物をつつむことは中に心を込める意味がありました。
まあ、実際には高安王が自身で獲って来た鮒ではないのでしょうけれど、戯れでこう詠ったわけですね。
娘子のほうもそのことは十分承知の上で、高安王が鮒を獲る姿を想像して楽しんだことでしょう。
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万葉集巻四
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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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