万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴坂上郎女の歌二首

ひさかたの天(あま)の露霜(つゆじも)おきにけり家なる人も待ち恋ひぬらむ

巻四(六五一)
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ひさかたの天の露霜もおく時刻となりました。家に居る人もあなたを待って恋しく思っていることでしょう。
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この歌は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が詠んだ相聞歌。
内容としては一緒に居る男性に「ひさかたの天の露霜もおく時刻となりました。家に居る人もあなたを待って恋しく思っていることでしょう。」と、妻の待つ家に帰ることを勧めています。
ちょっと恋人同士の相聞歌と解釈すると不思議な気がしますが、相聞歌とは恋歌にかぎらず広くは唱和歌や贈答歌を含むもので、この歌も親しい関係の者同士の唱和歌と解釈したほうがいいのでしょうね。

題詞だけからははっきりとしたことはわからないのですが、この坂上郎女の二首の歌の後に大伴宿禰駿河麿(おほとものすくねするがまろ)の歌が続くことやこの歌の内容などから、おそらくは坂上郎女のもとに時候の挨拶などに訪れていた大伴駿河麿に対して詠い掛けた一首ではないかと思われます。
大伴駿河麿は坂上郎女の娘の二嬢(おほをとめ)を妻にしていたようなので、娘婿に対して「二嬢が寂しがっているだろうから早く帰ってあげなさいな」と、義理の母らしい気遣いをしたのではないでしょうか。

こうして読むと万葉集の歌は当時の人々の「生きた声」そのもののようにも感じられますね。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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