万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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汝(な)をと吾(わ)を人そ離(さ)くなるいで吾君(あがきみ)人の中言(なかごと)聞きこすなゆめ

巻四(六六〇)
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あなたと私とを人は引き離そうとしているようです。あなたは他人の中傷など決して聞こうとしないでくださいね。
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この歌も巻四(六五六)の歌などと同じく、大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が詠んだ六首の歌のうちのひとつ。

先の巻四(六五九)の歌で、自身の恋と名が他人の噂になっているのを嘆いた坂上郎女でしたが、こちらでもそんな噂を立てて人々は「あなたと私とを人は引き離そうとしているようです。」と、想い人に訴えています。
そして「あなたはそんな他人の中傷など決して聞こうとしないでくださいね。」と、よからぬ噂に惑わされないで下さいと念を押しているわけですね。

まあ、実際に人々が自分たちの恋仲を引き裂こうとしているとは坂上郎女も思ってはいないのですが、結果的に噂の立つのを恥じて相手が身を引き、恋が終わってしまうことを危惧したのでしょう。
先の巻四(六五九)の歌の解説で、女性が恋の浮名を立てられるのは不名誉なことと書きましたが、それは男性も同じで、この頃の人々は男女ともに自分の名を非常に大切にしていました。
そんな中で、他人の立てた恋の浮き名のせいで終わってしまった恋というのも実際に多かったのかも知れませんね。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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