万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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安都宿禰年足(あとのすくねとしたり)の歌一首
佐保(さほ)わたり吾家(わひへ)の上(うへ)に鳴く鳥の声なつかしき愛(は)しき妻(つま)の子
巻四(六六三)
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佐保を渡って来てわが家のほとりに鳴く鳥の声のように懐かしく思い出される愛しい妻よ
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この歌は安都宿禰年足(あとのすくねとしたり)が妻を思って詠んだ恋歌。
安都年足についてはあまり詳しいことは分かっていないようです。
「妻の子」とあるのは、若い妻なのでこう表現したのでしょうね。
「佐保を渡って来る鳥」とは、佐保山の上を飛んでくる鳥の意味でしょうか。
そんな「わが家のほとりに飛んで来て鳴く鳥の声のように懐かしく思い出される愛しい妻よ」と、春に鳴く鳥の声を懐かしむ気持ちに譬えて妻のことを愛しく思い出しているわけですね。
「なつかしき」とは言っていますが、これは実際の時間が長く経ったというよりは、そう感じるほどに妻が愛しいと解釈するべきでしょう。
何処からともなく春の鳥の鳴き声が聞こえてくるような、そんな温かさの感じられる恋歌ですよね。
佐保山は現在の奈良県佐保町にある鴻ノ池運動公園のあたり。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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