万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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春日王(かすがのおほきみ)の歌一首 志貴皇子(しきのみこ)の子、母は多紀皇女(たきのひめみこ)といへり
あしひきの山橘の色に出でよ語らひ継(つ)ぎて逢ふこともあらむ
巻四(六六九)
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あしひきの山の橘のようにはっきりと態度に出しなさい。そうすれば人の噂に語られてあの人に逢うことも出来るかも知れませんよ。
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この歌は春日王(かすがのおほきみ)が詠んだ恋歌。
万葉集の中に春日王という名の人物は他にも何人か出てくるのですが、この歌を詠んだのは志貴皇子(しきのみこ)の子である春日王で、天智天皇の孫にあたります。
また、題詞によると母は多紀皇女(たきのひめみこ)だそうです。
そんな春日王の詠んだ一首ですが、恋を隠さずに「あしひきの山の橘のようにはっきりと態度に出しなさい。そうすれば人の噂に語られてあの人に逢うことも出来るかも知れませんよ。」との、なんとも思い切った表現の一首ですね。
「山橘(やまたちばな)」はこの場合は「ヤブコウジ」のことで、赤い実をつけることからはっきりと色に出す譬えとして使われています。
恋は隠さないほうが上手く行くというのはある意味でひとつの真実ではありますよね。
この時代の人々にとって恋はまさに「秘め事」であり表に出すことを非常に嫌っていたようですが、そんな常識にとらわれない発想をするところにこの春日王という人物の面白さがあるように思います。
ヤブコウジ(十両とも呼ばれます)。
「山橘(やまたちばな)」は「ヤブコウジ」のことで、赤い実をつけることからはっきりと色に出す譬えとして使われています。
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万葉集巻四
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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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