万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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湯原王(ゆはらのおほきみ)の歌一首

月読(つくよみ)の光に来(き)ませあしひきの山経隔(きへな)りて遠(とほ)からなくに

巻四(六七〇)
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月の光を頼りに逢いに来てください。あしひきの山が隔てるような遠い道ではないのですから…
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この歌は湯原王(ゆはらのおほきみ)の詠んだ恋歌。
湯原王は志貴皇子(しきのみこ)の孫で男性ですが、ここでは女性の側に立って詠んだ戯れの恋歌となっています。
「あしひきの」は「山」に懸る枕詞。

この時代の男女の逢瀬は秘め事として、誰にも見られないように日が暮れてから男が女の家に通うのが普通でした。
この歌もそんな背景のもとで、男の来訪を待つ女性の立場に立って詠んだわけですね。
この歌の後に作者不詳の巻四(六七一)の唱和の返歌が付けられていることなどからおそらくは宴会の席などでの戯れ歌だったのだろうと思われますが、戯れの歌とは思えぬほどの志貴皇子の血を引く湯原王らしい繊細さを感じさせてくれる見事な恋歌のように思います。

「月の光を頼りに逢いに来てください。山が隔てているような遠い道ではないのですから…」とは、ほんとうに読んだ瞬間に月明かりの夜道が目に浮かんでくるような一首ですよね。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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