万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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中臣女郎(なかとみのいらつめ)の大伴宿禰家持(やかもち)に贈れる歌五首

をみなへし佐紀沢(さきさは)に生(お)ふる花かつみかつても知らぬ恋もするかも

巻四(六七五)
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女郎花咲き…佐紀沢に生える花かつみ、かつて経験したこともない恋をするものですね。
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この歌は中臣女郎(なかとみのいらつめ)が大伴宿禰家持(やかもち)に贈った五首の恋歌の一首。
中臣女郎については詳しいことはなにも分かっていないようですが、家持に深い恋心を抱いていたようで家持に贈ったこれらの五首の歌が万葉集に集録されています。

「佐紀沢(さきさは)」は現在の奈良市水上池のあたりでしょうか。
この歌ではそんな佐紀沢に「女郎花が咲き」の「さき」の「調べ(リズム)」から同音の「佐紀(さき)」を引き出しています。
また、「花かすみ」はアヤメのことかと思われますが、こちらも佐紀沢に咲く花として詠い、「花かつみ」の「かつ」の音から「かつて」を引き出しています。

なんとも技巧に凝った上の句ではありますが、それだけに下の句の「かつても知らぬ恋もするかも」の率直さが活かされてこの部分が読み手の心の中にすっと入ってきますね。
以下、中臣女郎が家持に贈った恋歌が続きます。


平城宮跡の少し北にある水上池。
この池のあたりが佐紀沢かと思われます。



磐之媛陵の前、水上池のほとりにあるこの歌の歌碑。



歌碑裏の解説。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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