万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大伴宿禰千室(ちむろ)の歌一首 いまだ詳(つばひ)らかならず
かくのみし恋ふや渡らむ秋津野(あきづの)にたなびく雲の過(す)ぐとは無しに
巻四(六九三)
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このように恋いつづけるのだろうか、秋津の野にたなびく雲のように心を過ぎ去ることなしに
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この歌は大伴宿禰千室(おほとものすくねちむろ)の詠んだ恋歌です。
題詞に「いまだ詳(つばひ)らかならず」とあるのは、大伴千室の系譜についての詳細のことでしょうか。
「秋津野(あきづの)」は秋津の野のことで、奈良県吉野町の宮滝周辺の野のこと。
そんな「秋津野にたなびく雲のように恋いつづけるのだろうか、心を過ぎ去ることなしに」と、雲のかかって去らない様子に千室自身の恋心を譬えて詠った素敵な物思いの一首ですね。
いつの世も、恋に悩む思いは人の胸にたなびく雲のように心にかかって去らないものなのでしょう。
それがまた恋の楽しさでもあるわけですが…
秋津(奈良県吉野町宮滝)の野にたなびく雲。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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