万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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春日野(かすがの)に朝ゐる雲のしくしくに吾(あ)は恋ひまさる月に日(ひ)に異(け)に

巻四(六九八)
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春日野に朝にたなびく雲のようにしきりに私の恋はつのります。月を経るごとに日に日に。
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この歌も先の巻四(六九七)の歌と同じく、大伴宿禰像見(おほとものすくねかたみ)の詠んだ三首の恋歌のうちの一首。
一応、この歌も女性の立場に立って詠まれたものとして鑑賞したほうがよさそうですね。

「春日野」は奈良市の春日山周辺の野ですが、そんな「春日野に朝にたなびく雲のようにしきりに私の恋はつのります。月を経るごとに日に日に。」との、この歌も日ごとにつのる恋心の切なさを雲に譬えて素敵に表現されている一首ですよね。
男性が女性の立場に立って詠んでいるとはいえ、やはり人を思う気持ちには男女の差などないのでしょう。
おなじように、千数百年の時を経ても人が人を思う恋心になんのかわりもないことにもあらためて気づかせてくれるような、そんな恋歌のようにも思います。


「春日野」は奈良市の春日山周辺の野のことで、東大寺大仏殿の側の芳城川に架かる「春日野橋」などにその名が残っています。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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