万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
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(解説:黒路よしひろ)
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大伴宿禰家持の童女(をとめ)に贈れる歌一首
葉根蘰(はねかづら)今する妹(いも)を夢(いめ)に見て情(こころ)のうちに恋ひ渡るかも
巻四(七〇五)
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葉根の蘰を新たにつける少女を夢に見て以来、心の内に恋い慕っています。
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この歌は大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が童女(をとめ)に贈った恋歌です。
「葉根の蘰を新たにつける少女を夢に見て以来、心の内に恋い慕っています。」と、童女が家持の夢に現れてそれ以来ずっと恋い慕っているとの恋心を詠った一首となっています。
この時代、夢に相手が現れるのはその人が自分のことを深く思ってくれているからだとの俗信がありました。
ですから、この歌の場合も家持は少女が自分のことを恋しく思ってくれていると受け取って童女に恋歌を贈ったわけですね。
ただし、この歌は実際の恋歌ではなく、おそらく家持が創作した架空の恋歌であったのではないかとも思われます。
おそらくはこの童女の存在自体も家持の創作であったのかも知れませんね。
「葉根蘰(はねかづら)」についてははっきりとしたことはわかりませんが、歌の内容から判断して新たに成人した女性がつける飾りのようなもののようです。
ただ、すべての女性がつけるものではなく、巫女などの特殊な神職に就く女性の成人の証とされたものだったのではないでしょうか。
神に仕える巫女は恋を禁じられていましたが、そんな禁断の恋を歌の中で楽しもうとした家持の戯れの一首だったのかも知れません。
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万葉集巻四
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