万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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粟田女(あはための)娘子の大伴宿禰家持に贈れる歌二首

思ひ遣(や)るすべの知らねば片(かた)もひ※1の底にそわれは恋ひなりにける
土のもひ
※1の中にしるせり

「もひ」は原文では「土」遍+「完」。

巻四(七〇七)
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心の思いを晴らす術も知らないのでわたしは土碗の底の恋になっています。
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この歌は粟田女娘子(あはためのをとめ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った二首の恋歌のうちのひとつ。
「片(かた)もひ」は蓋の無い土の食器のことで、蓋が無く片側しかないことから「片思ひ」に掛けてあります。
そんな食器に自らの片恋を掛けて「心の思いを晴らす術も知らないのでわたしは土碗の底の恋になっています。」と詠った切ない恋の一首ですよね。

ただ、左注によるとこの歌は「片もひ」の土器の中に記して贈ったのだそうですが、実際の恋にしてはそのような贈り方をするのは少々趣向を凝らしすぎていることからあるいはこの歌も宴会などの席で戯れに贈られた歌だったのかも知れませんね。
まあ、事実の恋であったにせよ戯れであったにせよ、この粟田女娘子もまたなかなかに魅力的な恋歌を詠む女性のように思います。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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