万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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豊前国(とよのみちのくちのくに)の娘子大宅女(をとめおほやけめ)の歌一首 いまだ姓氏を審(つばひ)らかにせず
夕闇(ゆふやみ)は路(みち)たづたづし月待ちていませわが背子(せこ)その間(ま)にも見む
巻四(七〇九)
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宵闇は暗くて道がおぼつかないものです。月の出るのを待ってからお帰りください。それまでの間は一緒にいられるでしょう。
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この歌は豊前国(とよのみちのくちのくに)の娘子大宅女(をとめおほやけめ)の詠んだ恋歌。
豊前国の娘子大宅女とは、豊前の国の大宅女と呼ばれる娘子の意味で姓氏など詳しいことはわからないようです。
そんな豊前国娘子が詠んだ恋歌ですが、「宵闇は暗くて道がおぼつかないものです。月の出るのを待ってからお帰りください。それまでの間は一緒にいられるでしょう。」との、少しの時間でも長く想い人と一緒にいたいという女心の素敵な一首ですよね。
なんだかんだと言い訳をつけて恋人が帰ってゆくのを引きとめたいと思う気持ちは、現代人にも充分に共感できる感情かと思います。
このよう甘えた言葉で引きとめられれば、男ももうしばらくは帰らずに一緒にいようと思ったことでしょう。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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