万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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安都扉娘子(あとのとびらのをとめ)の歌一首

み空行く月の光にただ一目(ひとめ)あひ見し人の夢(いめ)にし見ゆる

巻四(七一〇)
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大空を渡る月の光で一目だけお顔を見た人を夢に見ました。
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この歌は安都扉娘子(あとのとびらのをとめ)の詠んだ恋歌。
安都扉娘子についても詳しいことはなにもわかっていないようですが、「扉(とびら)」というのは娘子の名前でしょうか。
そんな安都扉娘子が「大空を渡る月の光で一目だけお顔を見た人を夢に見ました。」と、月の光の中で一目だけ見た男性に恋をして夢にその相手を見たとの一首となっています。
この時代、夢に人が現れるのはその人が自分のことを深く思ってくれている証だとの俗信がありましたが、この歌の場合は逆に安都扉娘子自身が相手を深く思った結果として夢に相手を見たわけですね。

まあ、この時代の女性が夜に出歩くことなどほとんどなかったはずなのでこの歌も虚構の一首か、あるいは夜の戸越し(安都扉娘子の扉はこの意味か?)にでも道を歩む姿を見たのかも知れませんが、万葉集の時代にも一目惚れというのは存在するものだったのでしょう。
この歌が事実を詠ったものか虚構であるのかはともかくとして、なんだか月明かりの下を行く安都扉娘子の一目惚れの相手の姿が実際に目に浮かんでくるような、そんな想像力を刺激する魅力ある一首ではありますよね。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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