万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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天皇(すめらみこと)に献(たてまつ)れる歌一首 大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)、佐保(さほ)の宅(いへ)にして作れり

あしひきの山にしをれば風流(みやび)なみわがする業(わざ)をとがめたまふな

巻四(七二一)
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あしひきの山に居りますので風流の無い私のすることをおとがめしないでくださいね。
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この歌は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が聖武天皇(しょうむてんわう)に献上した一首。
坂上郎女は晩年、朝廷に出仕して天皇の側近くに仕えていたようで、この歌のように直接歌を献上できるほどの近しい関係にいたようです。

この歌の背景は詳しくはわかりませんが、題詞によるとこの時に坂上郎女は佐保の宅にいたとあるので大伴の里邸に戻ってなんらかの行事に際して作った歌でしょうか。
あるいは何かの品を聖武天皇に献上したときに添えた歌なのかも知れませんね。
「あしひきの」は「山」にかかる枕詞。
大伴の屋敷のあった佐保は山手なので雅な平城宮にいらっしゃる天皇に対して「あしひきの山に居りますので風流が無い振る舞いをお許しくださいね。」と断りを入れたわけですね。
まあ、歌自体には取り立てて面白味はありませんが、坂上郎女と聖武天皇の近しい関係を物語る興味深い一首のように思います。


大伴の邸宅のあった佐保山は現在の鴻ノ池運動公園周辺。



奈良市の佐保山の地にある聖武天皇陵。
現在の佐保には坂上郎女が歌を献上した聖武天皇の御陵もあります。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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