万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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天皇に献れる歌二首 大伴坂上郎女の春日(かすが)の里にして作れり
にほ鳥の潜(かづ)く池水情(いけみづこころ)あらばわが恋ふる情(こころ)示さね
巻四(七二五)
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にほ鳥の潜る池の底水よ、もしも心があるのなら私が大君を恋ふる気持ちを伝えておくれ。
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この歌は当時、春日の里に居た大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が聖武天皇に献上した二首の歌のひとつ。
坂上郎女は晩年、朝廷で聖武天皇の側近くに仕えていたようでこのような歌を献上できるほどの信頼があったようです。
歌の内容としては鳥の潜る春日の池を見て「にほ鳥の潜る池の底水よ、もしも心があるのなら私が大君を恋ふる気持ちを伝えておくれ。」と、鳥の潜る池の底の水のように表には出さないでいる坂上郎女の天皇への思慕を詠っています。
「恋ふる」と恋歌の形を取っていますがこれは坂上郎女得意の戯れで、もちろん聖武天皇に恋愛感情を持っているのとは少し違います。
まあ、天皇を敬い慕う献上歌といったところでしょうね。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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