万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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人も無(な)き国もあらぬか吾妹子(わぎもこ)と携(たづさ)ひ行きて副(たぐ)ひてをらむ

巻四(七二八)
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他の人が誰もいない国はないかなあ。君と手を取り合って行って一緒に居たいものです。
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この歌も先の巻四(七二七)の歌と同じく、大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)に贈った二首の恋歌のうちのひとつ。
「人の噂の立たない他の人が誰もいない国はないかなあ。君と手を取り合って行って一緒に居たいものです。」と、二人きりでいられたらとの恋の願いを素敵に詠った一首ですね。
この時代の人々は恋を秘め事として、自分の名が他人の噂になることを極端に嫌っていました。
にもかかわらず、家持と大嬢の恋は瞬く間に人の噂に立ってしまったようですね。

ただでさえ男女の恋は人々の気を引くのに、八年近くもの間疎遠になっていた家持と大嬢の恋ですから、周りの興味は尽きなかったことでしょう。
そんな世間の噂を気にしながらも、お互いへの思いはますます深まってゆく家持と大嬢でした。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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