万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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逢(あ)はむ夜(よ)は何時(いつ)もあらむを何すとかかの夕(よひ)あひて言(こと)の繁(しげ)しも
巻四(七三〇)
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お逢いする夜は何時でもあったのに何故あの夜に逢って、こんなに人の噂が立ってしまったのでしょう。
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この歌も先の巻四(七二九)の歌と同じく、大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った三首の恋歌のうちのひとつ。
この時代の人々は自分の名が恋の浮名として噂に立つことを極端に嫌っていましたが、どうやら家持と大嬢の恋は世間に知られてしまったようですね。
「お逢いする夜は他に何時でもあったのに何故あの夜に逢って人の目につき、こんなに噂が立ってしまったのでしょう。」との、悔恨の思いが詠われています。
おそらく、家持の来訪を偶然に誰かに見られてしまったのでしょうね。
「あの日あの時でなかったなら見られることもなかったのに」と後悔はしてみてもどうにもならないことは分かっていながら、それでも悔やまずにはいられない大嬢なのでした。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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