万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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また家持の坂上郎女に和へたる歌二首
後瀬山後(のちせやまのち)も逢はむと思へこそ死ぬべきものを今日(けふ)までも生(い)けれ
巻四(七三九)
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後瀬山…この後も逢おうと思うからこそ恋の苦しさに死ぬはずのものを今日までも生きてきたのです。
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この歌は大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)が詠んだ先の巻四(七三七) と 巻四(七三八)の歌に、大伴宿禰家持(おほともすくねやかもち)が答えた二首の返歌のうちの一首。
「後瀬山…この後も逢おうと思うからこそ恋の苦しさに死ぬはずのものを今日までも生きてきたのです。」と、巻四(七三七)の歌で坂上大嬢が「後瀬山のようにこの後もお逢いしましょう」と詠ったことに上の句で答え、また巻四(七三八)の歌で「恋の苦しさに堪えられずに死んでしまいそうに思います。」と訴えてきた大嬢の思いにも下の句で答えています。
「あなたに逢おうと思うからこそ私も恋の苦しさに死ぬはずのものを今日までも生きてきたのですよ」と…
一首の歌で二首の歌への内容に答えるなど、坂上大嬢の切ない思いを慰めながらも自身の恋心をも伝えている家持らしい魅力の一首ですよね。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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